「なに怒ってんの?」



「お、怒ってませんし!というかついてこないで!」



私の早足は彼にとって普通の速度らしく、平気な顔でついてくる蒼さん。



その無駄にニコニコした顔にはゾッとする。



「俺は怒りたいんだよなぁ」



「え__」



その顔を見上げた瞬間だった。



ドンっと背中に感じた衝撃に瞑った目。



ハッとして目を開けると、私の額にピタッと自分の額をくっつけた蒼さんが目一杯に顔を近づけて



「いつになったら自覚すんの?」



低い声で囁いた。