長い廊下の向こうで、郁人さんは部屋へ戻って行った。



「お、結衣〜!」



「ぎゃあ!!」



バンッと背中を叩かれビクゥッ!と全身で驚いた。



「えぇ…」



その驚きように、挨拶代わりに背中を叩いた幹也さんも引いている。



「い、いきなりやめてくださいよ…」



「そんな驚くとは誰も思わないって…ごめん」



たしかに。



軽く背中を叩いたくらいで飛び上がるほど驚くとは誰も思わない。