なんで突然、そんなことを言うんだろう。

私の心を読んだから?
気にしないように?

・・・それにしては、冷たい気がする。



「らぎあ?」

〈俺がすることは全部、気まぐれだから。
誰のためでもない〉

「ひょ・・・?」



神々しい黄金の瞳が、すうっと細められた。



〈俺は全部、どうでもいいから〉







誰のためでもないということは、ラギア自身のためでもないということで。

全部どうでもいいということは、ラギア自身もどうでもいいということで。




『なんで?』


すたすたと、歩く速度はそのままで、ラギアは私の前を行く。

さっきまでこちらに向いていた顔は、もう前を向いてしまって見えない。



〈知らない〉


端的にして明快な答え。


私は首をひねる。

どうしてそんなに投げやりなんだろう?


もったいないなぁ。



〈・・・もったいない?〉

『おおう。いきなり心の声を復唱されるのってビビるね!』

〈それで?〉

さらっと流された!!


『ええと、その・・・ラギアって色々もってるのに投げやりだなんてもったいないなぁーと』

〈色々?〉

『念話できるし!美形だし!獣倒せるし!優しいし!』
ほら、色々!』

〈ふーん〉

『反応薄っ!?』

〈さっきから別に優しくはないと伝えてたはずだけど〉

『え!?優しいよ!というか優しいか優しくないかはラギアが決めるんじゃないから!』

〈誰が決めるの〉

『ラギア以外の人・・・他者!』

〈へえ〉

『で、私はラギアが優しいと思うから、私にとってラギアは優しい男の子!』



どーんと胸を張る私。

あれ。私が胸を張る場面じゃないのでは?
なんで胸張った私・・・。