あまりの変化に目をぱちぱちとしばたいた。

ムッシェさん、もしかして今日情緒不安定なのかな?




「楯突くなど、そんなっ、するわけありません!」

「じゃあこの話は終わり。
いいよね?」

「・・・・・・はい」


力ないイエスが聞き取れて、私は首をひねる。

淡々としたラギアがすぱっとムッシェさんに勝ったように見える・・・けど、なんの戦いをしてたんだろう?

ラギアがここにまた来てから数分しかたってないのに、喧嘩?



「らぎあ、むっしぇ、だいじょうぶ?」


そんなに険悪な仲には見えなかったんだけどなぁ。



二人は私の方を向いて、ムッシェさんは何とも言えないというような顔をして視線をそらし、ラギアは逆にじいっと私を見た。

な、なんでしょう・・・?


「アサヒ」

「びゅん!?」

「行くよ」

「・・・ひょ?」



行く?

ぽかんとしているうちに、ラギアに手首を握られた。



「じゃあ、ムッシェ。
アサヒに朝食食べさせに行く」

「は、はい」

「ちょーしょっく?」


なんだそれ?と思っているうちにラギアに導かれるまま、私は部屋から出て歩いていた。




・・・正直、なんだか怖いムッシェさんと離れられてほっとしてしまった。





「らぎあ、ちょーしょっく?」


なにそれ?という気持ちを込めて聞けば、ラギアの赤と紫の瞳が黄金に変わった。

相変わらず、どちらの色も見惚れるくらいに綺麗だ。