「いる、ないね・・・」

「人いないね?」

「それ!」


人って単語が出てこなくてだね・・・。


「ありがとうラギア!」

「ううん。でも、本当に人いないね」

「休む、する日?」

「ん?特に何もない日」

「人、いない、なんで?」

「生活が苦しいから」



生活、苦しい?



「そ、なの?」

「また、税金が増えたらしいから」

「ひょ?」

「国にあげるお金、増えた」


・・・税金のことかな?

あたりをつけて頷くと、ラギアが続けた。


「1人800シアだったのが8000シアになった」

「びゅひゃっ!?」



1人あたり800シアだったのが8000シア!?
10倍じゃん!!

しかも、確かパン1つがだいたい10シアぐらいじゃなかったっけ・・・?


私の感覚的に、10シアが日本でいう100円ぐらいだったんだけど。

その感覚で言うなら、1人当たり8千円だったのが8万になったってこと?



ゾッとした。

それ、ヤバくない?





「なぜ?なぜ、たくさん?」


社会保障に当てられているの?

この、まるで中世のような生活をしている人々の国で?



「王侯貴族が必要だから」

「なに?」

「王様たちが必要だから」






––––この国は、王政で、王と貴族がいて、彼らは絶対的な権力を持っていて。





「・・・そ、か」


酷い、な。




思っても、頷く以外には口に出せなかった。

私が、口を出していいのか、わからなかった。