ラギアは静かにそう答えて、じっと小鳥を見つめる。


「・・・金の瞳の鳥、か」

「ひょ?」

「アサヒ、コレの名前は?」

「なまえ・・・」



そういえば、夕日がなんか言って呼びかけてたような・・・。

なんだっけ?

あのときはまだ異世界言語が今よりずっと拙くて、大体の言葉は意味不明な音と認識してたからなぁ。


むむむと唸る私。

ラギアは握っている方の手の指で私の手をタップ。



「わからないならいいよ」

「すみません・・・」

「一度しか会ってないのならわからなくて当然だから気にしないで」


ラギアはあっさりと言った後、今度はじっと私を見てこてんと首を傾げた。


「それで、どうする?」

「ひょ?」

「町に行く?それとも、コレといる?」

『あ』

そうだ!私、町に行く途中だった!



ハッとした私は、綺麗な金色の瞳を私に向けて大人しく立っている小鳥を見た。

何かを待っているようにも見えるその姿を見てから、ぎゅっと握る手を強めた。





「町、行く」

「・・・わかった」


行こう、と。

促す声に頷いて、また歩き出した。





小鳥の横を通り過ぎたら、後ろの方で鳥の羽ばたく音がした。


待っていたのかもしれない。

あの小鳥は、なんとなく普通の鳥と雰囲気が違うから、もしかしたら。


それでも。





“今更”だから。





振り返ることはしなかった。