「何買うの」

「わかんない!たのしいなる!」

「決まってないけど、楽しみ?」

「そー!」


ぶんぶんと繋いだ手を振って、ハッとした。


年上の威厳が迷子になってやがる・・・!

断じて元からなかったわけではない!




「ラギア!」

「ん?」

「わたし、コレ、ない、だいじょうぶ!」


コレ、と反対の手で繋がれた手を指差して胸を張る。

ラギアはじっと私を見て、言った。



「本当に?」


すごく疑わしいという声音だった。

信用・・・戻ってこーい!



と、呼び戻す前に突如足に異物を感じて躓いた・・・となる前にラギアに引っ張られた!

ありがとう!


やっぱり手は離しちゃ駄目だったね!

信用さんはそのまま放浪してていいよ!
でもいつかは帰ってきてほしいな!!




ラギアに感謝を伝えて反省した後、何に躓いたのかな?と足元を見て、固まった。



私の足元にすまし顔でちょこんと立っていた鳥は。

黒い羽根に金の瞳をした、その鳥は。



『うそ・・・』





あの時、夕日と一緒にいた小鳥だった。









な、ななななななんで!?


あの日から、夕日には会わなかった・・・というか、夕日が姿を見せなかった、が正しいかな。

私は夕日がどこへ行ってどこにいるのかまるでわからないわけだったので。


この小鳥も見なかった。

夕日が肩に乗せていた、綺麗な小鳥。


思えば、私と夕日が出会ったのはこの小鳥が原因だったのかもしれない。




その小鳥が、今、私の足元にちょこんと立って。

美しい金色の瞳で私を見上げていた。