私は2つの手の甲をぎゅっと抓って、片手を挙げて宣言した。



「すみません、わかた!
わたし、旭・戸田!よろしくお願いします!!」


謝罪は受け入れた。
抓ったから、もう私は怒らない。
これからよろしく!

そんな思いで行動すれば、首をかしげるアイナにラギアが私の気持ちを教えてくれたらしく。

アイナが目をまん丸くした後、眉を八の字にさせてへにゃりと笑った。


初めて見た、力の抜けた笑顔。




「全部知って・・・その上で、子どもの仲直りのようなことをするんですのね」

「ひょ?」

「いいえ、なんでもありませんわ。
ありがとう、アサヒ」

「びゅみゅ!どういたすますて!」

「ふふっ
間違えていますことよ」

「びゅみゃ!?」

〈「し」が「す」になってる〉

「みゅー・・・どういたしまして?」

〈そう〉

「合ってますわ」




アイナの笑顔とラギアの無表情。

優しい肯定が、嬉しかった。



やっと私は、ここに本当の意味で受け入れられたように思えた。





そして、私も。


少しはこの世界を受け入れられたような気がする。



帰りたくなくなったわけでは全然ない。

むしろすごく帰りたくなったかも。


でも、知りたいと思った。


真っ直ぐに謝罪した、私よりも年下なのに大人のような人たちのことを。

優しいだけでも残酷なだけでもないこの世界のことを。



もっと知って、不運を幸運に塗りかえたい。

ううん。塗りかえる!


大凶のおみくじを奇跡に変えた私だ。

出来ないわけがない!



私は、綺麗な2対の目を見て、笑った。