〈アサヒ〉

『なに?』


酷なこと?何それ?と首をひねる私に、ラギアが伝えたのは。




〈俺らは君に自白薬という薬を飲ませた〉

『自白薬?』

〈意識を混濁させて、質問に何も考えずに答えてしまう薬。
使い続けると精神が壊れて廃人になる〉

『え』

〈現に、薬に耐性がなかったみたいで、アサヒは3日間意識がなかった〉

『ええ!?』



衝撃!!!

え、じゃあ今はあの牢に入っていた日から3日後ってこと?



〈今は正確には4日後のお昼。昨日の夜一回目が覚めたでしょ?あれが3日後の夜だった〉

『え、そ、そう、なんだ・・・』




あんまりにも馴染みがない展開に目を白黒させる。

牢に入るっていうのも馴染みはまるでなかったけど、あれは実際に入っていた実感があった。

だけど3日間寝込んだという実感がまるでないから驚く。


3日間寝込んでいたにしては怠さもないし、至って普通の感覚なんだけど・・・。





〈だから君は、怒って当然なんだ〉

『でも、実感ないし』

〈自白薬が無ければ拷問してたよ〉

『ごっ、拷問!?』


ぎょっと目を剥く私に、顔色一つ変えずに淡々とラギアは言う。



〈ここにいる者達にとってはなんてことないものだ〉

『それって・・・ラギアも?』

〈うん〉

『アイナも?』

〈うん〉

『ムムも?』

〈うん。
アサヒ、ここにいる者たち全員だ〉


さらりと。

本当になんでもないように知らされた言葉に、胸がつまった。