私が微妙に落ち込んでいると、ラギアがアイナに何か話して、アイナが首を振る。

そうして、にっこり笑った。


「このまま牢から出すことはできませんわ」

「無実でも?」

「無実だという証拠はどこにもなく、状況的に見れば限りなく怪しいのではなくて?」

「うん」

「・・・あっさり頷きますのね。
ですから、自白薬を飲んでもらいますわ」

「自白薬?」

「効かなければ拷問ですわ」

「ふうん・・・できるだけ薄くしてあげて」

「なぜ?」

「慣れてないだろうから。
壊れてしまっては困るでしょ?」

「そうですわね。わかりましたわ」




何やら頷いたアイナは、頭にクエスチョンマークを浮かべている私に微笑んだ。

そしてお仕着せの紺色のワンピースの腰辺りから、透明な液体の入った小さな瓶を取り出した。

とろりと、液体が瓶の中で揺れる。



「アイナ」

「わかっておりますわよ。水はこちらに」


もう一度手をお仕着せの腰辺りに潜らせ、透明な液体が入った少し大きめ瓶を取り出す。

こちらはたぷんと揺れる。水っぽい?



「ラギア、少々手伝ってくださいませ」

「うん」


ラギアが大きめな方の瓶を持ち、蓋を開けた。

アイナがそれにとろりとしら液体を1、2・・・5滴入れる。




「これでよろしいかしら?」

「うん」


何かアイナが聞き、ラギアが頷いた。

アイナはラギアが頷いたのを見て、とろりとした液体の瓶の蓋を閉めて、また瓶をお仕着せの腰辺りに戻した。


そして、ラギアの手から大きめの瓶を取って、牢の下の方の小さな一部分を開いてこちらに瓶を入れた。

再びその一部分が閉じられ、アイナは私をひたと見据え、有無を言わさぬ声で言う。



「アサヒ、お飲みなさい」

〈飲んで〉


ラギアが伝えた言葉に頷いた。

なんだかちょっと怪しいけれど、拒否権はないのだろう。


私は瓶を取って、コクリと一口飲んだ。