彼女はほんとに仕事熱心でほんとに頼りにしていて本人には絶対言えないけど、正直いい相棒だと思ってる。

 だから彼女を食事に誘った時、「行きましょう」って言われたときはほんとに嬉しかった。

 俺は学生のときは人並みに彼女はいたが明らかに気持ちは違っていた。

 誰にも渡したくないって、俺以外に笑いかけないでほしいって思う。

 学生だった俺に言ったら笑れそうだが...。

 
 しかし彼女には、告白できない。
 
 振られたらどうしようって、キモいって言われたらどうしようとかばっかり考えてしまう。 

 こんなに「俺ってこんなに、ダサいんだな。」って毎日思う。

 けれどいつかはちゃんと気持ちを伝えたいと思っている。

      
河野先輩と飲んだ時、私の中で先輩の印象が変わっていた。

 前までは命令ばっかりでのわがままな人だと思っていたけれど、先輩はちゃんと考えを持っている人だ。

 って思うようになった。

 
 会社の女性社員のように好きにはなれないんだよね。

 まあ前に比べたらマシになったけれど...

 
「ねえねえ、鈴菜ーー!!」

 焦った顔をした葵が駅の方から走ってきた。

 「おはよう!葵!どうしたの?」

 「どうしたもこうしたもないよ!!噂になってるよ!」
  
 (まさか...。)

 「あんた、金曜日河野先輩と一緒に飲みに行ったんでしょ?」

 「行ったことはいったけれど。」

 「河野翔ファンクラブの人たちがネットで騒いでたよ。」

 「えっ?!えーーーーーーーー?!」

 「で、付き合ってるの?」

 「いやいや、食事に一緒に行っただけ。」

 「ほんとに????」

 

 
 
 「ホントだよ。」

 「ていうかどっちから食事に誘ったの?」

 「河野先輩から...。」

 「そうなのーー??まさか...。」

 「まさかって?」

 「河野先輩って女子社員のことを食事に誘うことなっかったらしいよ。」

 「えっ?」

 
 「だからみんなあんたが付き合っていると思っているみたいだよ」

 「えーーー?どうしよう。」

 「まあまあ仕事に支障がないといいんだけれどね。」

 「じゃあお昼食堂でね!」

 「うん。」
 「おはようございます。」

 「ちょっちょっ、鳥谷さん!!」

 「ええっ!!」

 「あの河野さんと付き合ってるの?」

 「ねえねえどうなの?」

 「えーっと」

 「彼女とは付き合ってないですよ。」

 (えっ?)

 「「河野先輩??」」

 「彼女とはつきあってませんよ」

 「「ほんとうですか」」