「紫織ちゃーん!」



莉嘉先輩に言われた通りHRが終わった後、

部活に行こうとする麗を無理やり引き止め、

教室で先輩を待っていると、突然聞こえる聞き覚えのない男の人の声。



しかもその声は私の名前を呼んでいる。



不思議に思って廊下に目線をを移すと居たのは、今朝莉嘉先輩と一緒に歩いてた男の人。


誰だったっけ。


「あ、生人先輩だ」


「あぁ。その人だ。」



「なんで先輩がいるんだろ」



そんな風に窓際に立つ生人先輩を眺めながら話してると、


その先輩はズカズカと教室に入ってきて私の前に仁王立ち。



「どうしたんですか?」


軽く固まってる私の代わりに聞いてくれる麗。


「おぉ。麗ちゃん。お疲れ!
莉嘉が係の会議で来れなくなったらしいから、代わりに俺が紫織ちゃん迎えに来たの!」



「なるほど!
紫織、行ってらっしゃい!私部活行くから!」


「え、麗も!」



「無理。
じゃあね、紫織。頑張れ!生人先輩お願いします!」


「了解よ!部活頑張れー
よし!紫織ちゃん行こっか」



「はい。」



部活に入っていない私は、高校に入って初めて喋る男の先輩にガッチガチに緊張してしまう。



すると、突然大きく笑い出す生人先輩。


「え、っと。え?」


「いや、本当に人見知りなんだね!
想像以上。」



「...はい」



ちょっとでも愛想を良くしようと苦笑い気味に笑う。



「そんなに緊張しなくていいよ!
同級生くらいに気軽に話してくれれば」



その言葉はすごく優しいけどそれが人見知りにとっては申し訳なくもあり、もっと緊張してしまう。




そんな感じでガッチガチに緊張する私を連れて、生人先輩は多目的室に向かった。




「連れてきたよー!」


多目的室に入ると



「紫織ちゃーん!」


と莉嘉先輩が走ってやってきた。



「あれ、莉嘉会議は?」


「終わった」


「紫織ちゃん!こいつに変なことされてない?」


「おい。なんだそれ
してないよな?紫織ちゃん!」


「...されました」



文化祭までの期間仲良くしなくちゃいけない先輩だと分かってるから、ちょっと勇気を出してノリに乗ってみる。



「え!紫織ちゃん!」



「うわ生人くん最低〜
こいつ別れた後も彼女とのツーショットをホームにする位変態なやつだから。紫織ちゃんも気をつけてね」



「そんな変なこと植え付けんなって!」



「じゃあ私の紫織ちゃんに近づかないでー」



「莉嘉が連れてきてって言ったんじゃん」



しょんぼりする生人先輩。


完全に莉嘉先輩の尻に敷かれてる感じと、夫婦みたいな関係に思わず笑ってしまう。


「そこー!早くしてー!」



「はーい!恋怒らすと怖いから、早く行こ」


そう言って私の腕を引く先輩にただただついて行った。