扉を開けた。

そこにはいつも通りの空がいた。

昨日とはまるで別人の。

いや本当はこれが本当の空だ。

「空!」

「ひなた…!」

私は空の元へと駆けよりベッドのとなりの椅子に座った。



「空…太陽さんから聞いた」

私は一言そう呟いた。

「黙っててごめん。」

「うん。」

「本当は何度も言おうと思った。でも、ひなたとの時間は本当の自分でいたかった…!好きな人の前では…かっこつけたかった。病気なんて聞いたらひなたは優しいからちゃんと人間として接してくれない。病人として接してくるから。だから…!」

「それは空の優しさでもあるけど、ただの自分勝手」


「え…」

「自分が普通に生きたいから?そう。それはいいと思う。でもさ、私の気持ちも考えてよ!空が死にました。癌でした。でも誰にも言ってませんでした。って?なんにも言わないで居なくなるの?私には考える時間もくれなでいなくなるの?」

数秒間…沈黙がながれた。

「ごめん。言いすぎた。怒らないって言ったのに。ごめん。」

「俺さ…多分、もうすぐ死ぬんだよね。太陽にも医者にもまだなんにも言われてないんだ。まだ治るって。でもこの状態。治るわけないよ。」

空は苦笑いを浮かべながらそういった。