「プライベートな付き合いはしないんじゃ

なかったの」

「聞いてたんですか」

そうだ。彼は確かにロビーで女性社員から

食事に誘われていた時それを理由に断ってい

た。


それなのに私の事は誘ってくるなんて。どう

いうつもりなの?


「葵さんは特別です。嫌・・・ですか?」


ああ、そんな熱い眼差しで見つめられたら

恥ずかしくてどうにかなっちゃうよ・・・

「・・・今日だけ、ね」

私は彼の熱視線に耐えられずOKした。ほん

とこういう事に免疫がないとすぐに流され

てしまう。彼が私の事なんて好きなはずない

のに。

「じゃあ、今日の17時30分に会社前で待っ

てます」

彼は目を細めて微笑むと総務課に戻って行

く。私はと言うと・・・すっかりメロメロ

になってその場にへたり込んでしまった。



「あれ、どうしたの?まーた顔赤くしちゃ

って」

デスクに戻るとまた美香が話し掛けてく

る。ムシしてパソコンに向き合うがろくに

集中する事が出来ない。彼の事ばかり考え

てしまい単純なケアレスミスをしてしまっ

た。