一応聞いてみるとやっぱり彼の事だった。

そんなに私と倉持くんってイチャイチャし

てるように見えるのかな?もしかしてみん

な「この女ウザッ!」とか思ってたりして。


「おい、ちゃんと仕事しろ。仕事」


経理課の早口(はやぐち)課長が私達の肩

をポンポンと叩いてくる。早口課長は30代

だがメガネが似合うイケメンなので倉持く

んの次に女性社員の人気を得ていた。

「ねえ~、課長。今日は一緒にご飯行きま

しょ~」

美香は立ち上がると甘えながら課長にすり

寄る。課長もまんざらでもなさそうにデレ

デレしていた。


「そうだ、水無月。総務課の倉持が呼んで

たぞ」

「え、ええ~?」

「ええ~、じゃないだろ。何だ嫌なの

か?」

「いえ、別にそういうわけでは・・・」


別にそういうわけではない・・・んだけ

ど、一体彼が私に何の用なんだろう。