山崎社長はふうっと息を吐いた。
「中にはアイドルのように崇拝してるファンもいるから」

黙ったまま社長の次に言葉を待った。

「・・・しばらくネットが荒れるかな。賛否両論あると思う。でも、貴斗が選んだのは果菜ちゃんなんだから、どうか貴斗のそばから逃げ出さないでやって欲しいの」

私は大きく息を吐きだした。

「私は社長さんにお付き合いを反対されるんじゃないかとか、もっと控えめにしてとか言われるんじゃないかって思ってました」

「え?」

「私は進藤さんの隣にいてもいいですか?あの、その別に外でって話じゃなくて精神的な話です。寄り添っていくのか肩を並べて立つのか後ろに一歩引くのかはわかりませんけど。進藤さんに出会って彼のことが好きになりました。一緒にいたいと思います。自信満々な進藤さんの別の顔も見てみたいんです」

「まあ。ふふふ」
山崎社長は笑い出した。

「うん、私の見る目に狂いはなかったわ。果菜ちゃん、いいわ」

どうやら社長には気に入ってもらったらしいことがわかってほっと息をついた。

「いい、ですか?」
「うん。いいわよ。私の思った通り。自信をもって堂々と貴斗の隣にいて支えてあげて頂戴」

「今はまだいろいろ自信はないですけど、隣にはいたいです」
「ライブの時の二人の様子を見てイイ感じって思ったのは私だけじゃなかったはずよ」

「イイ感じですか?」
「そう、イイ感じ。感覚的なものだからどこがどうって言われると困るんだけど」

私は首をひねる。あの時はとにかく無事にライブに送り出してあげなきゃと必死だった。

「あなたがサポートしてくれたからあそこまで頑張れたんでしょうね」

「それは私じゃなくて他のナースでも同じだったと思うんですけど」

「それは違うと思うな。貴斗はかなり気難しいから。簡単に自分のこと任せたりしないわよ。”あとは頼む”だなんて。見てたスタッフたちも驚いたと思う」