文集の文字を見て、今でも思い出す。
大切が、好き。
高校生になった今でも、舜は嘘はつかない。
「舜、行くよ?あれ?」
高校の通学路で、舜はクラスメイトに囲まれて唸っていた。
「舜さ、手加減するって。松山、舜の彼女で大変だねー。」
クラスメイトの舜の親友のひとり、橋元くんが笑っていた。私は、なんのことか、不思議に思いつつも、舜に近寄った。
「松山はさ、舜のどこが好きなの?」
「え?」
橋元くんは、舜に腕を絡んで詰め寄ってきた。
「舜の?なんで?」
ブレザーから、長いスカート丈が、ちらちらかさ張る。紺地のきらきらしたブレザーは、去年頃に新しく新調されたもので、私たちの一個うえの先輩が凱旋してデザインしてくれた。
舜は、体が大きいけど、腕が長いくらいだから、ブレザーはそんなに大きいものでなかった。それどころか、舜より背が低い、橋元くんのほうがサイズが大きかった。
「いいじゃん、じゃあ、舜はさ、松山のどこ?どこに惚れたの?」
「お前、彼女と別れたからって、絡みすぎ!俺、まなみのどこも言わないよ?全部可愛い!」
「嘘をつけ!嫌な箇所くらいあるはずだ!」
「どっちだよ?橋元。」
私は、橋元くんが笑っているのを見て、少しいじけていたけど、橋元くんは、舜の昔からの親友のひとりで、私とも親交が深かったので、すこし大声で怒ってしまった。
「橋元くんの、ばか。」
「松山が、すねた!」
「舜に、なんてこと言うのよ?もー、嫌い。」
橋元くんは、にやけて「ここが、好きなポイントね」と、自転車で走っていった。
「可愛いよ?バカップルー?」
「もう!舜もなんとか言ってよ!」
舜は、いつもにこにこしてる。いま、も。
怒ることなく橋元くんを見ていた舜に、わたしはすこしふくれていた。
そんななか、舜は、私に、近くのコンビニで買った、オレオを渡してくれた。舜は、チーズケーキチョコパイを残していた。
「脹れてると、お腹すくよ。まなみ。」
「だって、まるで私、可愛くないみたい。ねぇ、舜は、どこ、好き?私の。」
舜は、笑っていたが、私はもっと脹れて、舜を残して、「ばか!」と、いい放った。
舜は、こうしてる間も、好きで
好きで
仕方ないわたしと、付き合ってくれてる。
「好きで、ごめんね」
「え?」
なんでもないよ。
舜は、きらきら、ひかるブレザーを纏って、私の肩を寄せるようにオレオをつまんだ。
「甘っ。」
可愛くて、格好いい、舜が、わたしは大好きです。
風が気持ちいい季節、舜とわたしは付き合い始めた。
といっても、まだ、はっきり好きを貰ってない。
「舜は、なんで、松山好きなの?」
にも、「可愛い」とか、「嫌いなところ」とか、挙げてくれない、すばしっこい、器用な逃げ方の舜。
けれども、お菓子をよく買ってきてなだめてくれる癖は変わらない。可愛い舜は、わたしのやっぱり大切な瞬間を一緒に歩んできてくれてる。
学校に着いて、学校と、新学期のしおりと、真新しい綺麗に清掃された靴箱を見て、私はわくわくしてきた。
舜は、となりで、わたしのオレオをかじっていたけど、私は、抱きつきたくなってきて、舜を見上げた。
「舜、頑張ろうね」
「うん?うん。どうしたの?まなみ?」
「私、舜と一緒だったら、何万馬力でも出ちゃうからね。」
私は、興奮して、舜の腕をぐいぐい引っ張っていった。
新校舎の2階にあるクラスは、風通しよくて、ぴううと、海風が鳴いた。
大切が、好き。
高校生になった今でも、舜は嘘はつかない。
「舜、行くよ?あれ?」
高校の通学路で、舜はクラスメイトに囲まれて唸っていた。
「舜さ、手加減するって。松山、舜の彼女で大変だねー。」
クラスメイトの舜の親友のひとり、橋元くんが笑っていた。私は、なんのことか、不思議に思いつつも、舜に近寄った。
「松山はさ、舜のどこが好きなの?」
「え?」
橋元くんは、舜に腕を絡んで詰め寄ってきた。
「舜の?なんで?」
ブレザーから、長いスカート丈が、ちらちらかさ張る。紺地のきらきらしたブレザーは、去年頃に新しく新調されたもので、私たちの一個うえの先輩が凱旋してデザインしてくれた。
舜は、体が大きいけど、腕が長いくらいだから、ブレザーはそんなに大きいものでなかった。それどころか、舜より背が低い、橋元くんのほうがサイズが大きかった。
「いいじゃん、じゃあ、舜はさ、松山のどこ?どこに惚れたの?」
「お前、彼女と別れたからって、絡みすぎ!俺、まなみのどこも言わないよ?全部可愛い!」
「嘘をつけ!嫌な箇所くらいあるはずだ!」
「どっちだよ?橋元。」
私は、橋元くんが笑っているのを見て、少しいじけていたけど、橋元くんは、舜の昔からの親友のひとりで、私とも親交が深かったので、すこし大声で怒ってしまった。
「橋元くんの、ばか。」
「松山が、すねた!」
「舜に、なんてこと言うのよ?もー、嫌い。」
橋元くんは、にやけて「ここが、好きなポイントね」と、自転車で走っていった。
「可愛いよ?バカップルー?」
「もう!舜もなんとか言ってよ!」
舜は、いつもにこにこしてる。いま、も。
怒ることなく橋元くんを見ていた舜に、わたしはすこしふくれていた。
そんななか、舜は、私に、近くのコンビニで買った、オレオを渡してくれた。舜は、チーズケーキチョコパイを残していた。
「脹れてると、お腹すくよ。まなみ。」
「だって、まるで私、可愛くないみたい。ねぇ、舜は、どこ、好き?私の。」
舜は、笑っていたが、私はもっと脹れて、舜を残して、「ばか!」と、いい放った。
舜は、こうしてる間も、好きで
好きで
仕方ないわたしと、付き合ってくれてる。
「好きで、ごめんね」
「え?」
なんでもないよ。
舜は、きらきら、ひかるブレザーを纏って、私の肩を寄せるようにオレオをつまんだ。
「甘っ。」
可愛くて、格好いい、舜が、わたしは大好きです。
風が気持ちいい季節、舜とわたしは付き合い始めた。
といっても、まだ、はっきり好きを貰ってない。
「舜は、なんで、松山好きなの?」
にも、「可愛い」とか、「嫌いなところ」とか、挙げてくれない、すばしっこい、器用な逃げ方の舜。
けれども、お菓子をよく買ってきてなだめてくれる癖は変わらない。可愛い舜は、わたしのやっぱり大切な瞬間を一緒に歩んできてくれてる。
学校に着いて、学校と、新学期のしおりと、真新しい綺麗に清掃された靴箱を見て、私はわくわくしてきた。
舜は、となりで、わたしのオレオをかじっていたけど、私は、抱きつきたくなってきて、舜を見上げた。
「舜、頑張ろうね」
「うん?うん。どうしたの?まなみ?」
「私、舜と一緒だったら、何万馬力でも出ちゃうからね。」
私は、興奮して、舜の腕をぐいぐい引っ張っていった。
新校舎の2階にあるクラスは、風通しよくて、ぴううと、海風が鳴いた。