ふいに涙がこぼれ落ちた。


目の前の先輩は、私の知っている先輩じゃないと、私の好きだった先輩とは違うのだと。


怖くなって泣きじゃくり始めた私。

先輩はキスを止める。


「どうしたの?」

「や、めてくださ……い。なんでこんなこと──」

「きみが好きだから」


被せられた先輩の言葉も信じられない。

いやいやと首を振る。


「どうして信じてくれないの? なにが嫌だったの?」


私と先輩の常識は違うようだ。


「こんなことしなくたって、告白をしてくださっていれば……私は受け入れていました」

「だけど、一生じゃない」

「……えっ?」


表情を消した先輩。

さっきまでの比じゃない。

顔が整っている人の無表情は本当に怖い。