そのとき、部屋のドアが開く音がした。


「あぁ、起きたんだね」


先輩の声が、私の耳に届く。

もう言い訳は探せない。

先輩が、この状況を作った張本人だ。


「せんぱ、い……?」


だけど、まだ信じられない私は間抜けな声で先輩を呼ぶ。


「うん? どうしたの?」


いつもと変わらない優しげな先輩の声。

おかしい、変だ、と頭の中で警鐘が鳴り響く。


先輩が近づいてくる。

ベッドが沈む。

多分、先輩がベッドの上に乗ったから。

あたたかな先輩の手が私の頬に触れた。

突然のことに驚き、ビクンッと震えた。

先輩の手が離れて行き、私はホッとする。