ペラペラと喋りだすタカシの頭の中は、もはや宇宙、違った意味でファンタジー。


なに言ってるんだろう、タカシは。


割れかけの爪をいじって、つまんなそうにオレンジジュースを飲んでいた私のどこを見て、タカシを誘ってると思ってるんだ。


タカシってすごい。尊敬レベルのポジティブさだよ。


呆れを通り越してちょっと羨ましい。



「それじゃあ行こうぜ、詩」


ドラマの観すぎなタカシは、甘い声で(ささや)きながら、私の肩を組んできた。


すると。


「なあ、さっきから天沢ちゃんに馴れ馴れしくしすぎじゃない?」


私の首根っこを掴んで、ベリッとタカシと引き離すミア先輩が、低い声で言う。



ミア先輩は怒っていた。


その証拠に、目がいつもよりギラついている。