助けを求めてまい実ちゃんに視線を送るけど
まい実ちゃんは他の男子と楽しそうに喋ってて困ってる私に気づいてくれない。



タカシもタカシで。


「俺、最近彼女と別れたばっかでさー。
 あっ、別れたって言っても俺の方から振ったんだけどね~」


さっきから自分語りをやめない。


タカシの恋愛自慢なんて正直どうでもいい。


そんなことより。

音痴だから歌いたくなくて、流れるようにやってきたマイクをすかさずまい実ちゃんに渡したその時に。

慌てていたせいで、マイクにぶつけた爪が痛い。

ちょっと割れてるし。


その爪をジッと見つめ、タカシの話しに適当に頷いていたら。


なにを思ったのかタカシが、「今から2人で遊びに行かない?」と。

私と恋愛する気満々だ。



「えー……っと?
 ほら、2人で抜け出すなんて、皆に悪いじゃん。
 せっかく大勢で遊んでるんだし」


ハッキリとは言えないから、気を使った言い方をするけど。

なんでイケると思ったのか。タカシが私の肩を抱き寄せてくるから、ゾッとする。



「でも出会うための合コンじゃん。
 個人個人で仲良くならなきゃ、意味ないでしょ」


「うーん、でも私は皆と一緒がいいな」


「あれでしょ。
 詩って気になる人には素直になれないタイプでしょ?」


「はあ?」


「ほんとは俺と抜け出したいくせに照れちゃって~、こいつめ~」