「そっかー、どうしてこんなに天沢ちゃんに構いたくなるのか。
 ようやく分かった気がする」


言いながら、ミア先輩は私の頬から手を離す。



「意地悪したいだけなんじゃないんですか?」


「ハハッ、それもあるかも」


「……それ以外は?」


「知りたいの?」


こくんと素直に頷く。


短いくせに、二つに結ばれた私の髪を弄ぶ様に触ってくるミア先輩は。


上半身だけ起こして、顔を近づけてきた。


ちょっとでも動くと、きっとすぐ互いの唇が触れ合ってしまう。


そんな距離に、顔はきっと真っ赤になっているのに、頭の中は真っ白だ。


先輩はいつだって、ズルい。



「天沢ちゃん、恋愛経験ないってことは。
 全部俺が教えてあげられるでしょ?」


「……っ」


「待ってたよ、そういう女の子」


「……誰でもいいくせに」


「違うね」


「えっ?」


「天沢ちゃんだから、いいんじゃない。」 


「……っ!?」