「でっ?先輩なにしに来たんですか」
言いながら視線を先輩に戻す。
「暇だったから、天沢ちゃんでもからかいに?」
「それ暇すぎでしょ。お弁当食べ終わったんですか?」
「どうせなら天沢ちゃんと食べようと思ってたんだけど……どうやらそこの可愛い子と食べてるみたいだしね」
先輩がニコッと笑いながら、まい実ちゃんを見た。
まい実ちゃんは恋のキューピッドに矢を放たれた様に、口の上手い先輩にズキューンと心を奪われちゃったみたい。
まい実ちゃんは立ち上がり、私の弁当箱を勝手にハンカチで包むと。
私の肩を掴んで、強引に立たせ、先輩の前に差し出した。
「詩、あげます」
「いいの?」
「ミア先輩のためなら……っ!」
「ちょっと……っ、なに勝手に決めてんの!?」
まい実ちゃんに売られた。
しかもミア先輩に。
ミア先輩は「ありがとう」とまい実ちゃんに笑いかけて、私の首根っこを掴みながら教室から出る。
二人とも、私の気持ちなんかいつだってお構いなしだ。