「ちょっ、ミア先輩なんでここに……って。
 ていうか、わっ私の唐揚げーー!!」


「へぇー、ウマイじゃん天沢ちゃんの唐揚げ。
 自分で作ったの?」


「いやお母さんが……って、話逸らさないでください!!」


二個しかない唐揚げを、親友と先輩に食べられるなんて……。


弱肉強食すぎない?この世界。



「ちょっ、ちょっとちょっと詩!!
 えっミア先輩じゃん、本物!?
 あんたが呼んだの?!」


唐揚げの罪の意識なんかまったく気にしていないまい実ちゃんが、ミア先輩を見て興奮し、バシバシと私の肩を叩いてくる。


それも、けっこう強めで。


「呼ぶわけないじゃん……それより唐揚げ」


「あんた!今唐揚げどころじゃないでしょ!?」


「どの口が言ってるのさ!!」



もうほんと、まい実ちゃんの目にはミア先輩しかいないみたい。


背中がチクチクと痛むのに気づいて、周りを見れば、女子は全員、目をハートにしながらミア先輩を見ている。


ここの教室だけ、もはや弁当を食べるどころじゃなくなっていた。