「やだよ、私あんな男にときめきたくない」


「なに、誰、もしかしてミア先輩のこと?」


「なんでわかんのよ、まい実ちゃん」


「だってあんたに絡むモノ好きって、ミア先輩しかいないじゃん?」


「モノ好きってひどくない?」


「いいじゃん、あんなイイ男に好かれてりゃあ、なんだって。」



そろそろ授業が始まる頃合いで、先生が教室に入ってきた。

まい実ちゃんは扇風機を止めて自分の席に戻っていく。



机に肘をつけながら、ミア先輩のどこがいいのか考えてみた。


顔がいいところ?


たまに優しいところ?


ホントたまーに、気を使えるところ?


でも性格、悪いよね?


でも悪かったら、私のことなんて庇ってくれないよね?


うーん、分からない。


最近は毎日ミア先輩と喋ってるけど。

相変わらず、あの人だけは何を考えているのかよく分からない。



……いやいやだから、考えてもしょうがないんだって。


だって別に私

ミア先輩のことなんか好きじゃないもん。


今日も女の子と遊びに行くみたいだし。

やっぱり軽いだけだよね、あの人。