そこまで言ってしまってからハッとなって言葉を止める。

すらすらっと言葉が出そうになってた。酔ってるから?


「モモ、続きは?」


わかってるくせに、ジュンさんは聞いてくる。

言わなければ伝わらない。

時には気持ちを解放してあげてもいい。


「その時はもう十分ジュンさんの事好きでしたよ?」


私は立ち止まり、まっすぐとジュンさんの目を見て言う。

寒いはずなのに、顔が熱い。


「ええ、知ってました」

「なっ、」


知ってた?私の気持ちを?

ククッと笑いながら、ジュンさんは肩をすくませる。


「上司に憧れるそんな目をしてましたから」


うわ。そんな目で私見てた?

本人に言われるとは、かなり恥ずかしい。


「そうですっ、憧れてましたクールで仕事ができて素敵な主任に!」


酔った勢いで、もうやけくそ。

だって本当の事だし、本人もわかってたんなら隠したって仕方がない。


「とんだ見当違いでしたね?クールで素敵だなんて」

「そんな事ないですっ。ジュンさんは素敵です」


縋りつくようにして言う私に、ジュンさんは自嘲するように言う。


「モモに悪い虫がつかないようにわざわざあそこまで迎えに行ってもですか?」

「え、」

「心配なんですよ、モモが。離れている間に誰かに持っていかれないかって」

「誰にも持っていかれませんよ!だって私はジュンさんの事しか好きじゃないですから」


ジュンさんをじっと見上げる。

酔った勢いでもないと言えそうにない。

縋りつくようにしていた私をジュンさんは剥がすようにしてから手を繋ぎなおした。


「…モモ、愛の告白をしてくれるのはいいですけど。家帰りませんか?」

「え、」


後二、三分で家に着くのに帰り道の途中で興奮してしまった。同じ家に帰るのだから焦る事もないのに。


「こうして手を繋いで同じ家に帰るのはいいですね」

「…はい」


ジュンさんが迎えに来てくれてうれしかった。

私を彼女だと言ってくれた事も。


みんなに質問攻めにあうかもしれないなんて事よりも今この幸せを感じていたい。