あぁ…。
言ってしまった…



どうしよう…
啓人は十秒前の自分に戻りたかった。


「え??!そうなんだ、」

心做しか千愛希の顔が少し曇った気がした。

困ってるような。



まぁそりゃそうだよな。

俺だって、付き合った事ぐらいある。

だけどそれは、千愛希の事を好きなんだってことに気づくまでで。


俺はずっと好きだって。
知らなくて

でも、何人かと付き合う中で確実にわかったことは、

千愛希といるのが一番落ち着くし楽しいってことだ。



だから…
俺は…。








だけどそんなこといきなり言っても驚くだけだよな…



俺も、好きな人の好きな所を正直に言おう。






「俺の好きな人は、」

急に話し始めた俺を驚いたような顔で千愛希が見つめる。


「ばかでうるさくて、女子なのか疑いたくなるけど」

「一緒に居ると落ち着いて一番楽しい人。」

「それに…
かわいいし?」





最後の一言を言ったせいで俺の顔は真っ赤。


あぁぁ。バレたかもしれない

そして、千愛希はすごく困った顔してる。

今にも泣き出しそうな。







まぁ俺だって十分、千愛希に好きな人がいるって知ってショックなんだけどね(´Д`)ハァ…







「じゃ、じゃあね!!」

無理に笑顔を作った千愛希が言う。

「お、おう」

今日は家にこなさそうだな…、



啓人は2重のショックに覆われていた。




────それは千愛希もだと、知らずに。