ピピピピピピピピ__バキャッ!!



うるさいスヌーズの音に起こされた私は不機嫌度MAXだ。


容赦なく粉々にされた時計に対して、何も思うことはない。


またか、なんて呑気な事を考える。


なんせ、今日から転校生として凜華学園に通う事になってしまったのだから。


はぁ。


何故学校なんぞに行かなければならなくなったのかと言うと、それは僅か一週間前まで溯る。



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「ねえねえ無愛(ムア)ちゃ~ん♪」



私の名前を呼ばれた方を見ると、そこにいるのは一人のイケメン。


そいつの名前は三河 悠(ミカワ ユウ)。

関係を一言で言うならば、ただの知人だ。
……まぁ、保護者とも言うけど。


「何? 私今スプラ○ゥーンで忙しいんだけど」


よし一人殺った。
勝ち確(カチカク *勝ち確定の略)だわこれ。


「無愛ちゃん来週から学校行ってね!」


よしもう一人殺っ……






……は?


「え、ちょっ待って? 言ってる意味がちょっと分からないんだけど。何? 学校行くって。遂に悠頭おかしくなった?」

「無愛ちゃん学校行ってないでしょ~? 行かせようかな~って」


いやいや、何そのコンビニ行ってきてとでも言うような口調は。


「高校は義務じゃないでしょ? それに私、大学飛び級で卒業してるんだし、今更高校の勉強なんて簡単すぎるよ。お金の無駄なんじゃない?」

「でも無愛ちゃん仲のいい人いないし、見たこともないよ~? 友達作りなよ~」

「余計なお世話ですぅ~!」


軽い。
軽すぎる。
学校だぞ?
どのくらいのお金がかかると思ってるんだ。


「でも無愛ちゃんが何言おうとどちらにしろ来週から学校行かなきゃだよ? 書類もう出しちゃったし、来週から行くって事になってるから」

「はあ?!」


もう出した~?!?!
あ、ありえない……
本人の許可無くそんなことを決めるなんて……!


「じゃあとりあえず学校行ってねぇ!」

「えっ、ちょっと待っ」


私が何か言う前に悠はドアを閉め、去って行った。

残ったのは混乱する私とがっくりと肩を落とすイカ娘が映ったテレビ。



許すまじ、悠のバカ。