−鈴 side−



…やってしまった。


玄関で仁王立ちしている彼を見つめて、私はさっきの自分の行動に嫌悪感を覚えた。


色素の薄い綺麗な瞳はしっかりと私を捉えている。


「分かってるよね?」


そう言って彼は微笑むと、私に背を向けてリビングへと歩き出した。



…タイムマシーンがほしい。



彼の姿が見えなくなったのを確認して小さくため息をつくと、私もリビングへと足を進めた。



「た、竹野くん、あのね?」


リビングの扉をソッと開きながらソファに腰掛けている彼に声をかける。



彼は何も言わずに私を見ると、さっきと同じように微笑んだ。


「おいで、鈴」



…ああ、もう無理だ。



ポンポンと自分の膝を叩く彼を見て、ただただそう思った。



「さっきのこと、説明してくれるよね?」



竹野 怜。



彼は異常だ。