「向こうから、いきなりね! しかも半ば強引だったし!」

 頭を掻く八乙女さん。

「逃げなかったのか? 亜留の方から迫って来たって言うなら、逃げたら良かったんだ」

「いきなりだったんだよ。そんな余裕なかった」

 ため息を吐く八乙女さん。

「沙耶の唇をまだ奪っていないって言うのに、他のコから反対に奪われるとはな。しかもよりによって如月亜留とは」

「オレもまさか、如月亜留があんな事をするなんて想像もしなかったよ」

 ホント、想像しなかったし。