オレは人の気配を感じたので視線を動かしてみた。

 目に飛び込んだのは同じクラーラ高校の女子数人の姿だ!

 しかも、その中に沙耶の姿があった!

 これはヤバい状況だ!

 他の女のコたちは呆然となっているし、沙耶自身は表情が固い。

 視線をそらし落ち着きがないようだ。

 その沙耶を如月さんはチラ見してニヤリと微笑む。

「これで渋谷真斗は私のものだよー」とわざと大きな声を出して恋人宣言した。

「…」

 沙耶は何も言わずプイッとその場を立ち去り始めた。

「ま、待って沙耶!」

 追っかける間もなく、沙耶は走り去ってしまった。