私の祖母が経営している小さな洋食屋『めるへん』に来てくれた事から知り合い、メールをするようになった2つ上の先輩、それがサラさんだ。

知っている情報といえば、その名前と隣の市に住んでいることぐらい。

しかし、凛としていて同じ中学生に見えない余裕たっぷりな所が私の心をヒリヒリ焦がした、その感覚だけで良かった。

サラさんみたいな人になりたい。

そう思っていたのに。

サラさん。

同じく洋食屋で会い、その上辺だけの優しさに惚れて付き合って、結局はロリコン大学生に酷い目に合わされましたなんて言ったら軽蔑しますか。

途中で罪悪感に駆られて逃げ出されて、ひとりぼっちにされましたなんて言ったら、鼻で笑いますか。

私はおそるおそる、メールボックスを開いた。

『晶ちゃん』

ただの文字からサラさんの声が聞こえた。聞こえるような気がした。