そんな関係をもう何十年と続けてきたであろうことか。 トランシルヴァニアへ向かう前に、必ず立ち寄る事を命じられ、彼女は馬を走らせ、全身を黒で纏い…静かに呼吸を繰り返していた。 今、まだ彼女の心は「無」でしかない。 これから、己の身に何が起こるのか…身だけではない…。 己の心に、一体何が浮かぶのかさえ、分からなかった。 彼女の瞳は冷ややかで、ただただ前を見つめるのだった…。