「………ぅり！ゆうり！！」
んん～、誰かが私の事を呼んでいる。
だけど、私はまだ眠い。
そう思いながら、その声を無視して、私は頭から布団を被った。
「起きろぉぉ～！！」
「うわぁぁ！！？」
キィ～ン！
誰かが私の耳元で叫んだ。
私はとっさに跳ね起きる。
「もう、なにするの～！耳おかしくなったぁ！」
私は耳を抑えながらそう訴える。
「なにするのじゃない！学校遅刻するぞ！！」
え……！
私はとっさに目覚まし時計を確認する。
時計の針は8時15分を指していた。
「うわぁぁ！！？遅刻するー！
なんで早く起こしてくれなかったの～！！？」
私は慌てて学校に行く準備を始める。
「お前は一人で起きられないのかよ！？
俺は何回も起こしたっつぅーの！」
この怒鳴ってるのは、私の幼なじみの良樹だ。
良樹とは小さい頃からずっと一緒だった。
ついでに同じ高校、学年で、私の兄みたいな人だ。
私と違って良樹は、すごくしっかりしている。
そして顔も良いからか、結構モテているのだ。
だが幼なじみの私から見ると、優しさが欠けているし、強引だし、すぐ怒るので、なぜモテているのか不思議でたまらない。
私は5分で支度を終え、良樹と一緒に家を出た。
自転車で飛ばせば間に合うはずだ。
私はいつも歩きで学校に通っているが、今日は緊急事態ということで、良樹の自転車の後ろに乗せてもらった。
「お前重い。」
「はぁ？！ホント最低！！」
いつもならここで良樹の背中を殴っているところだが、今日は迷惑をかけている身として我慢するしかない。
………はぁ。
いつまで私はコイツと一緒にいなきゃいけないのかなー。一生離れられない気までする。
そんな事を考えながら、学校に着くまで私はただ、ぼーっと自転車に揺られていた。