話した事もないあたしに、しかも振られた状態のあたしに声をかけてくれるなんて。



「そんな事ないよ、ありがとう」


あたしはそう言って坂本くんに笑顔を向けた。



「別に、僕は何も…っ」


「ううん、ありがとう。

にしても坂本くん…携帯忘れるなんて…しかもおもいっきり机の上に置いてあるじゃん!」



「あははっ」と笑う。


だって可笑しいんだもん。



「そんな笑わなくても…」


「だって、普通さそんな分かりやすく置いてあるのに帰る時気づかない?はははっ、坂本くんって真面目そうで意外と抜けてるんだね」


「でも…、元気になったみたいでよかった」


坂本くんは、ふっ と小さく笑った。



坂本くんも笑うんだ。

いつも教室では本読んでたり、友達といても難しそうな話しばっかりしててあまり笑顔なんて見たことがなかった。