「……宮本さん?」






えっ…

とっさに涙を拭いて、声のする方を向くとそこには同じクラスの坂本健太(さかもと けんた)くんがドアの前で驚いた顔して立っていた。


坂本くん……話したことないや。

なんかおとなしくて、あたしとは絶対話し合わなさそうだし。


てか、泣いてるの見られた?



「僕…わ、忘れ物取りに来ただけだから」



そう言って自分の席に置いてあった携帯を持って出て行こうとした時だった。





「だ、大丈夫ですか?」


「え?」


まさか心配されるとは思わなくて返答に困る。



「い、いやっ…何でもないです。話した事もない奴に心配されても迷惑でしたね」



坂本くんはそう言って顔を隠すように鼻に手を持っていった。