そして、クリスマスイブ前日。


「く、胡桃……助けて。いまだに一輝くんから連絡来ないし明日ないのかも…」


「ほんっとむかつくわね一輝。あたしからも言ってやるよ?優」


「いやっ、それはいいの!なんかあたしが胡桃に頼んだって思われるの嫌だから」



そうなんです。

連絡してって言われたからしてるのに、返信が一切ない。既読さえつかなくなった。



「もうさ、優。新しい男作ったら?」


「は?胡桃がそんな事言うなんて……」


胡桃は一途な女の子なはず。

そんなチャラい発言に驚きが隠せない。



「なんか自然消滅しちゃいそう優と一輝くん」


「自然消滅…」



…あり得る。


「胡桃どうしよう…あたしこんなパターン初めてだからどうしていいか…」


連絡がつかないなんて。



「え、まだ好きなの?」



ーー好き?

…って聞かれると、



「どうだろう…なんかもうここまで来ると、嫌いな域に入ってきてるのかも」


「………ぶっ、あっははははは」


胡桃が大笑いで笑う。


「そんな笑わなくてもっ」


「いやっ、優らしいなって。ぶっ、なんかもうさ、こうなってくるとまたすぐ惚れさせてくれる男現れてくれないかな?とか思っちゃう、ごめん」


「それね!あたしも本当そう思う。そしたらさすぐ振れるのに」


「ねー?絶対一輝よりいい人はたくさんいるんだから、こんな人に時間かけてるの勿体ないよ」


「間違いない。でもそう簡単には現れてくれないよ」


「あの家庭教師は?」



…涼介くんですか。


「胡桃いっつも涼介くんの事言うよね」


「だって…話し聞いてると、優の事なんでも知ってて、唯一男性で優の本性知ってるし、一番気を許してるのその先生なんじゃないのかな?って」



話しは聞いてくれるよ?

お兄ちゃんみたいだし…あたしの本性知っててアドバイスとか色々くれるし、

チョコだってくれる優しい人だけど…



「いーや、鬼だよ鬼」


「意識した事ないの?かっこいいな、とか」