そして涼介くんの日。
「……おい」
「痛っ!何すんのよ!!」
パシッ と軽くおでこを叩かれた。
「優がボーッとしてるからだろ?早く問題やれよ。あと2問じゃないか」
「はーい」
こんなの数字ばっかな問題頭に入らないって。
涼介くんがうるさいから残りの2問を解いた。
「間違ってる」
「はぁー」と深いため息をついた涼介くん。
なんか嫌な感じ。
「鼻くその件で頭いっぱいなのは分かるけど、俺も仕事しに来てんの。しかも優は来年受験生だから俺にも責任がある」
そうだね……うん、確かに。涼介くんは間違った事を言っていない。
お金を貰いに来てる訳だし…あたしが不真面目で受験に落ちたとしたら多少は涼介くんの責任にもなるかもしれない。
「ごめん……」
「えらい今日は素直だな」
あたしが落ち込んでいると「ん」と目の前にチョコレートが差し出された。
「俺、チョコ苦手なんだわ。あげる」
そう言って片方の口角を上げ笑った。
……涼介くんのくせに。
ちょっとだけかっこいいな、と思ってしまった事を絶対に言えない。