「ううう…っ、だって…真剣に頑張ろうって思えたんだもん…。好きになったのに…別れろ別れろって…っ、分かってるけど出来ないんだよぉぉ….っ」


拭いても拭いても涙が溢れる。



「泣くな!な?無理には言わないから。優のタイミングでいいから」


「うう…本当は皆んなに祝福して欲しかったのに、みーーーんなして反対するんだもん….っ、こんなの初めてだよぉ」


「分かった、分かったよ優」



涼介くんはそんなあたしの頭を優しく何度も何度も撫でてくれた。



涼介くんの手って意外と大きいんだな。

優しく撫でるんだな。


凄く嫌な事で泣いてるのに、そんな事を考えてる自分もいた。




「ううう…お母さんの言った通り、涼介くんみたいな人が彼氏だったら幸せなんだろうな」


そう言うと、撫でていた手がぴたりと止まった。





「……分かんねぇよ?
俺だって演技してるかもしれない」



そう言って、ははは と笑った。


「ないな、涼介くんに演技なんて無理無理。絶対下手くそすぐバレる」


「んな言わなくてもいいだろ。

…….ほら、元気でたな?そろそろやるぞ」


「うううう、まだ元気じゃないぃ」


「嘘つけ。嘘泣きバレバレなんだよ、早くテキストの問題1からやれ」



ふん、さっきまでは優しかったのに。

またいつも通りの鬼涼介くんに戻っちゃった。