「お母さん凄く美味しかったです。ご馳走さまでした」
涼介くんはお皿をキッチンに戻す。
「あらあらいいのに〜、本当涼介くんはいい子よね。あんな涼介くんみたいな人見つけなさい」
「うるさい!
いい人くらいあたしだって探せるよ!」
タタタと階段をのぼり、自分の部屋へと入る。
いい人。
一輝くんだって最初はいい人だと思ったのに。
「優」
お母さんと話していた涼介くんが来た。
「勉強でしょ、分かってる」
あたしはそう言って今日の分のテキストを開く。
「だから言ったろ?
すぐ付き合うなって。もうちょっと相手を知ってから付き合えって」
「だけど…….っ、分かんないじゃん!一輝くんだったら何回も会ってても演技していい人ぶるかもしれないじゃん!」
「……」
「あたしそんなすぐ見分けられない」
「そうだな、悪かった。
だけど、そいつとはもうすぐ別れろよ」
そう言ってあたしの横に座る。
「……」
「は?お前それでもまだあの鼻くそ好きとか言うの?」
「分かってる、頭の中では別れた方がいいって事は十分分かってる!!……だけど、なかなか言い出せないの」
「優が傷つく前に別れるんだ」
「…….うう」
「は?ちょ、泣いてんの?!」
どうすればいいのか分かんなくて思わず大量に涙が溢れ出てきた。