眠っている平本先生を起こさないように小さな声で蒼衣先輩から色々聞いてみた。



「2人は一緒に暮らしているんですか?」


「俺は電車と歩きで学校来ている。
兄貴は学校近くのアパート借りて1人暮らし」


そうなんだ…
知らなかった。

てか、当り前か。
平本先生になんか興味無かったしね。



「平本先生だったんですね、蒼衣先輩のお兄さんって…
名字が同じでも全然気付かなかったです」


「世の中に“平本”なんて名字の人は沢山いるからね。
この学校にだって同じ名字のやつ沢山いるだろうし」


「そうですねー」



蒼衣先輩は自分の着ている制服を1枚脱ぎ、平本先生に優しくかけてあげた。


優しいんだな、蒼衣先輩って…



「蒼衣先輩は彼女いないんですか?」


「いないけど?」


ちょっと以外だった。
こんなにも優しい蒼衣先輩に彼女がいないだなんて…


「もしかしてフラれたばかりとか?」


「違う。
今は彼女を作らないだけ。
受験が今はあるからね」