「平本先生は蒼衣先輩のクラスを教えているんですか?」
「教えるわけねぇだろ。
そこは配慮した」
そっか、そうだよね。
そんな危ないことをやるわけ無いか。
「秋元、マジで俺らの事言うなよ」
「それは大丈夫です。
2人が“兄弟”だなんて誰にも言いません」
「不安だぁー」と言って平本先生は机に突っ伏した。
「少し休んでいけば?
まだ5時30分までは時間あるから福島が来る心配はないから」
「サンキューな、蒼衣」
仲、良いな…
あたしには『兄弟』ってよく分からない。
あたしは一人っ子だったからお兄ちゃんやお姉ちゃんにずっと憧れていた。
あたしにも兄弟がいたら、こんな2人のようになっていたのかな?
「秋元さーん」
「はい!」
「この本を返してきて」
「了解です」
平本先生は突っ伏したまま眠ってしまったのかさっきから動かない。
あたしは蒼衣先輩から渡された本を本棚へ戻しに行った。