バサバサバサッ…


あたしの瞳に映った光景が信じられなくて、
本を落としてしまった。



「誰だっ!」


あたしは急いで本を拾ってその場から逃げようとしたが、あたしに向かって2人分の足音が迫ってくる。

逃げられないよ…


「お前…」


見つかった。



顔を見られたくなくて本を抱えたまま床に座り込んでしまった。


「秋元さん、顔あげて」


「…………」


いつもより何百倍も優しくあたしに話しかけてくれた蒼衣先輩。

あたしはその言葉の通りにゆっくり顔を上げた。



「兄貴がこんな所でタバコなんて吸おうとするからバレたんだからな」


「まさか秋元がいるだなんて思わなかった」


「毎日ちゃんときて仕事して帰るって言っているだろ?」



どうして…
どうして2人が一緒なの?

それに『兄貴』って…



「平本先生がどうして蒼衣先輩と一緒にいるの?」