お昼休み終了の時刻を教えるチャイムが鳴った。
「2人とも5時間目が始まるからそろそろ帰って欲しいんだけど?」
「わかりました。
ありがとうございました」
梓が丁寧にあいさつしているけど……。
あたしはあいさつをしようと思えなかった。
「夏帆?」
あたしが蒼衣先輩から視線を反らしている事に気付いたのか梓が心配そうに顔を覗き込んできた。
「ん、何?」
あたしはイライラしている事を悟られないように笑顔で何もないように答えた。
「それじゃまた放課後に手伝いに来ますね。
…… それじゃ」
あたしは梓の手を握って早く図書館から出ようとしたが呼び止められた。
「秋元さんっ!」
「何ですか?」
あたしは梓に「先にいっていいよ」と伝えて蒼衣先輩と向き合った。
今は蒼衣先輩と話したくない気分。