梓はちょっと気まずい顔をしている。
そりゃそうだよね。
梓も今は立ち入り禁止な事は知っているんだから……。
「月岡さん…… だよね?」
「は、はい……。
あの、ごめんなさい。
夏帆は悪くないんです!
あたしが言い出したからあたしが悪いんです」
「別に怒っていないから大丈夫。
2人とも“料理の本”を探しに来たんでしょ?
窓際にあるから勝手に見ていっていいから」
ちょっと、ちょっと、ちょっとぉー!
どうしてあたしに梓に言ってくれたような“優しい言葉”を言ってくれないのよ!
それに怒っているのか、怒っていないのか分かりずらい。
「梓っ、早く探しちゃお」
「う、うん」
なんだかあたしはイライラしながら窓際にある“料理の本”を見始めた。
今見ても……。
どの本がいいのか、全く分からない。