福島先輩の優しさに背中を押されてあたしは走った。
ただ、蒼衣先輩に会いたくて…
そんなに距離があるわけじゃない。
でも…ただ一心に走った。
学校に着く頃にはもう息は切れていたけど…
足の速さを緩めることなく図書館へ向かった。
本当は優しく開けなきゃいけない図書館の厚いドア。
でも、そんなの関係ない。
バンッと思い切りドアを開けた。
館内は電気が点いていて誰かいるようだ。
蒼衣先輩がどうかなんてわからない。
でもゆっくり奥へ進んだ。
「誰?」
顔が見えるわけじゃない。
でも分かる。
聞いたことのある声。
忘れたくたって、絶対忘れることの出来ない声。
「こんにちわ」
「あっ…」
たぶんあたしが急に来て驚いているに違いない。