「あたし…あたし…」
「うん」
「あたし…」
言わなきゃ…
でも、分かっていても思うような言葉が出てこない。
「福島先輩以外に好きな人ができました」
「うん、それで?」
落ち着きながらあたしの話しに耳を傾けて聞いてくれる。
「だから…
あたしと、別れてください」
「…………」
あたしたち以外のお客さんの声が聞こえるだけ。
「だよね~」
「マジで?」
あたしから話しかけるべきなのかよくわからない。
あたしはただ福島先輩の返事を待つだけ。
……………どれくらい時間が経ったのかな?
たぶん数分だったと思うけど…
今のあたしには、何時間も何十時間も福島先輩の返事を待っているように感じた。
重く、冷たい空気があたしたちの間に流れている。
でも、最初に口を開いてくれたのは福島先輩だった。
「やっと、気が付いたの?」