「今帰り?」
「はい。
先輩は練習ですか?」
「そう、自主練。
最近なんだか調子悪くてさ」
全く調子悪そうには見えないんだけどな…
結構ゴールに入っていたし。
「名前、何て言うの?」
「誰の?」
「君の名前だよ。
他に誰がいる?」
「そうですね…
秋元です。
秋元夏帆です」
「夏帆って言うんだ。
可愛い名前だね。
俺は福島ハジメ。
よろしくな」
『可愛い』って初めて言われたかも。
ちょっと照れるな…
「それじゃ気を付けて帰れよ」
「はい。
福島先輩も自主練頑張ってください」
これであたしたちは別れた。
でも次の日からたまにだけど…廊下や食堂で会うと福島先輩が手を振ってくれたり、
話しかけてくれるようになった。
あたしが福島先輩を好きになるまでにそれ程時間がかからなかった。