最近気付いたけど、
梓は敏感な子。
人の小さな表情に反応する。
あたしが『図書館の仕事が最後』と分かった時からもう梓の中では気になっていたはず。
なのに、あたしが話し出すまでずっと聞かないでいてくれて…
ホンッとうに優しい。
向かいに座ってグスグス泣いている梓の横へ移動して、梓を抱き締めた。
「絶対、夏帆の友達やめないから。
ずっと友達、ずっと友達…」
『ずっと友達』と言いながらあたしを離さないように強く背中に手を回している。
「あたし、そんなり分かりやすかった?」
「泣きそうだった」
「そっか…」
泣きたいくらい悲しかった。
寂しかった。
図書館へ行けないこと。
蒼衣先輩に会えないこと。
それが悲しくて寂しかった。
「あたしね…」