「夏帆は持ってきた?」


「持ってきているよー。

あたし、自転車持って正門の前で待っているから取りに行ってきな」


「ゴメンね。
取ってくる」



さっき通った道を逆戻りする梓の背中を見送ってあたしは下駄箱に向かった。



梓が忘れ物とか珍しい。


如月さんとケンカした事で今日1日なんだか集中できていない様子だった。


梓の生活は如月さんで回っているみたい…



下駄箱から外へ出るとほとんど生徒が正門へ向かって歩いていた。


流れに沿うようにして自転車置き場まで行き、
正門へ向かった。



そして正門には見たことある長身が壁に背中を預けて立っていた。


「こんにちわ」


ついつい話しかけてしまった…


「あ、久しぶり」



向こうもあたしを覚えていてくれたのか優しく微笑んでくれた。


本当にカッコいい…



平本先生と友達なんて…



信じられない。